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マルチスクリーニングも、UVインクジェット厚盛り印刷も。大洋の技術、「デザインのひきだし」に入ってます。

グラフィック社『デザインのひきだし27』
大洋印刷 河合剛ほか

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2016年2月に発売された『デザインのひきだし27』


「印刷なんてどこも変わらないから、価格の安い会社に頼もう。ネットでいいんじゃない —?」いやいや、この本を読んだ後でも同じことが言えるでしょうか。グラフィック社から出版されている「デザインのひきだし」の新号がいよいよ発売。特集は『現代印刷美術大全』。自社で一番得意な印刷加工の刷り本を集めて、110種類にのぼる印刷サンプルを綴じ込んだもの。つまり、いまの印刷技術の結晶のような冊子なのです。この冊子に大洋印刷も参加させていただきました。

すごいんです、デザインのひきだし27。ページをめくる度に初めて見る加工や、考えもつかないような印刷のテクニックが溢れでてくる。この本には大洋印刷も、負けじと刷り本の提供をしています。50、51ページです。たくさんの手段から選び出したテーマは「印刷することでしか見えない世界」。データ上では姿を現すことのない図柄や文字を、印刷ならではの表現で浮かび上がらせている。どうして、この表現に行きあたったのか。プロジェクトリーダーである河合をはじめ、制作に携わったメンバーに話を聞いていきます。

— デザインのひきだしの今回の特集は『現代印刷美術大全』。たくさんの技術自慢の印刷会社が参加する中で、大洋印刷はどう臨んだのか。まず、どのようなことから手を付けていったのですか。

河合 剛(営業戦略室) ある意味何をやっても良い特集ですよね。逆に言えば広いレンジで考えなければならない。コレという技術の指定があれば、かんたんに答えが出たんだろうと思いますが、編集部の方からは指定はなかった。だから生産部を中心としたメンバーを集めて、何ができるのか。何をやりたいのかを主に話し合い、いろいろな意見交換をすることからはじめました。

鈴木 元治(生産本部役員) 生産部としては、やるなら驚きのあるものでなければ意味がないと思っていました。『究極の技術とは何か』『雑誌というかなりのロット数があるものに、本来は小ロット向けのものを提供してみる』とか。そして、普段は様々なパートナー会社の協力を経て製品を作っていますが、今回は自社の技術だけでどこまでできるのかをずっと考えていましたね。

西内 孝也(プリンティングディレクター) 世の中で見慣れたものを提供してもつまらないですよね。『大洋ってバカだな』と半分あきれられるようなことがしたかったんです。こんな時代でも『印刷バカ』でありたい。それは社員も共有しています。だからコスト面で仕事ではとても受けられないUVインクジェットでの表現にチャレンジしてみたらおもしろいなと思いました。

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— 単なる印刷サンプルにしない。大洋印刷として表現するべきものは何だろうと考えた結果が、今回の表現をつくるきっかけになったわけですね。では「印刷することでしか見えない世界」というテーマに、どのように行き着いたのでしょうか。

河合 どんなものをつくるべきかを決めるのに、数回のミーティングが必要でした。そこで大洋印刷の技術の強みは「トップクリエイターの鋭利な感覚を、直接肌で感じつづけている」ことだと気がついたのです。現場はその感覚を受けているので、半端なものではダメだと自然とわかっているのでしょうね。それで『究極のマルチスクリーニング』と『UVインクジェット厚盛り印刷』を、一つのテーマで表現しようということになりました。この方向性が決まったあとは一気に進みました。その後、クリエイティブの部署であるプロモーション部にアイデアを考えてもらったという流れです。

栗原 勲(クリエイティブディレクター) こんなにかんたんに情報発信できる時代に、わざわざ印刷する。それがどんな意味を持つのかメッセージを発信したかったんです。キャッチフレーズは『見えないから、信じられる』。愛とか信念とか、記憶、宗教もそうですが、人が芯から大切にしていることというのは見えないものばかりですよね。表面にはなかなか出てこない。情報も同じじゃないかと思うんです。かんたんに発信できる分、そこに込められるものもインスタントになってしまってはいないかと。印刷は考え方次第でたくさんの表現ができる。想いを込められるということを伝えたかった。それで『印刷することでしか見えない世界』というテーマを決めて、印刷してはじめて表現が完成されるアイデアを提案しました。

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制作途中のデータ

河合 提案を見て、満場一致で決めました。クリス・スティール=パーキンスさんの写真もいいですよね。広告用に撮った写真じゃないから真実が写っている。

— テクノロジーがどれだけ進化しても愛が大切だということは、いつの時代も変わらないことですよね。印刷愛というところが青くさくて、いかにも大洋印刷らしい。 ではそれぞれのシートについて見ていきます。一枚目は「究極のマルチスクリーニング」。どのあたりが『究極』なのか。

栗原 『究極』という命題に応えられたかはわからないですが、スクリーン線数の違いだけでグラフィックを表現しているところです。デザインデータはスミアミ80%のボックスに過ぎません。 スクリーン線数というのは、印刷物の細やかさを表す単位。写真データの解像度と同じようなものですね。カタログなどの印刷物は通常175線(lpi)、素材のディテールをきちんと見せたいときは300線。新聞は粗めで80線前後です。マルチスクリーニングという技術は、一枚の印刷物にバラバラの線数をミックスできる技術。写真など階調のあるものを、部分的に強調するための技術なのです。いわば掛け算の技術。今回の印刷物は、ベースとなる写真のないところ、0 (ゼロ)に技術を掛けても表現が浮かび上がっている。そこが『究極』と言えるところではないでしょうか。

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マルチスクリーニングは、一つの紙面に複数のスクリーン線数を組み合わせられる技術

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違うスクリーン線数を組み合わせると、微差ではあるがグラフィックが浮かび上がる。

斉藤 孝之(プリンティングディレクター) 絵柄がきちんと浮かび上がるようにいくつかサンプルをつくり、最適なスクリーン線数と網点のパーセンテージを探っていきました。結果、スミアミ80%の地アミに、280線と47線の二階調の組み合わせにたどり着いた。見えすぎず、見えなさすぎず。大洋印刷のマルチスクリーニングは線数の境界線のキレイさが自慢なので、下部の絵柄も線数を変えています。細かいところですが、そこもきちんと見てもらいたかった。

— 二枚目は「UVインクジェット厚盛り印刷」。UVインクジェットは重ね塗りすると、その印刷部分がもっこりと盛り上がる。バーコ印刷や、UVニスのような効果が、小ロットで手軽にできることで知られています。ただし今回は10,000を超えるロット数です。出力に時間がかかるため一、二枚からの少量出力に適しているUVインクジェット機。出力するにあたり、苦労した点を聞いてみました。 

小林 寿和(サイン&ディスプレイ部) まるまる1ヶ月出力に要しました。出力時間はトータルで200時間を超えています。今回1ロール50mのロール紙(DEEP UVヴァンヌーボSW)を使っていて、1ロールを出力するのに6時間かかるんです。3度の重ね塗りなので18時間。夜19時に出力をはじめると翌日13時まで出っぱなしです。ロールを取り替えるのが大変でした。最後の方は夜中に1本目を印刷して、翌朝まで待機してたりしましたね。あと、インクの使用量がすごいことになりました(笑)

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50mロールを12本で、延べ600m分の長さを出力。

河合 いろいろ試行錯誤しながらでしたが、生産・営業・プロモーションと各部署が一致団結してできました。普段聞けないような生産部の本当の声を引き出すこともできたと思っています。

 

最初できあがった雑誌を見た時、さまざま派手なサンプルが並ぶなか、一見地味にみえた大洋印刷のサンプルですが、こだわり抜く姿勢やおもしろいことをやりたいという情熱は大洋印刷らしさが出せたんじゃないかと思います。「デザインのひきだし」に込められた大洋の技術。ぜひ、“ひきだし”を開けて、見てもらいたいです。

 

インタビュー・文:大場洋行


 

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デザインのひきだし27
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